今回の投稿は「パーソナルトレーニングで相次ぐ事故の実態」です。
パーソナルトレーニングでの事故が相次いで起きており、国民生活センターへの相談が増加しています。
それにより消費者庁もパーソナルトレーニング(パーソナルトレーナー)の実態調査を行っています。
パーソナルトレーナーになるには資格は必須ではなく、明日からでも名乗ればパーソナルトレーナーして活動することができます。
大手スポーツクラブや24時間ジムのスタッフも同様です。
多少研修は受けているとは思いますが、基本的にはアルバイトかフリーターです。
私も理学療法士養成校時代にスポーツクラブでアルバイトをしていましたが、現場スタッフはアルバイトばかりでした。
スポーツクラブには独自のパーソナルトレーナー資格があり、それに合格するとお客様にパーソナルトレーニング指導を行うことができます。(業務委託の場合民間のトレーナー資格が必要)
基本は社内規定のトレーニングプログラムで指導を行わないといけないのですが、トレーニング好きのスタッフは我流のトレーニング指導を行っていました。
そうしてアルバイト時代に顧客を増やして独立する。
こういったことはよくあることです。
整体院も同様で、マッサージという言葉は医療用語ですので使用できませんが、リラクゼーションや揉み解し矯正など言葉を巧みに変え、治療院を開業しています。
パーソナルトレーニングジムも整体院も事故が起きているので問題視されていますが、違法行為ではないのです。これが厄介なのです。
資格を持っていないトレーナーが問題視されていますが、日本には明確なパーソナルトレーナー資格がなく、あっても民間団体の資格なので3か月も勉強すれば取得可能です。(勉強することには意味がありますが)
では国家資格を作ってみてはという案もありますが、どういったカリキュラムにするかも課題点です。
私は理学療法士ですが、理学療法士ですら体系的なシステムがありません。
A理学療法士はこう治療しているがB理学療法士はこう治療しているなど、治療法がバラバラです。
最近やっと、痛みの改善⇒関節可動域の改善⇒筋力増強⇒協調性の改善
と体系的な治療が主流となりましたが、「未だに痛みがあるのは筋力が足りないからだ!」という理学療法士がいるのが現状です。
国家資格でもこのようなことが起きているのにも関わらず、パーソナルトレーナーで国家資格を作ったとしても結局我流のトレーニング指導になってしまうと思われます。
またある柔道整復師の方が「医療従事者」と名乗っていましたが、正確には「医療類似行為者」です。
病院など医師の処方の下、施術を行っているのであれば医療従事者でありますが、整骨院等で勤務し医師の処方なく施術を行っている場合は医療類似行為者です。
こういった医療類似行為者がパーソナルトレーナーとなり、医療従事者であるから安心ですと謳っているジムもあるので注意が必要です。
そもそも国家資格は専門性云々のためにあるのではなく、「業務を独占するため」にあるのです。
国家資格には業務独占と名称独占があります。
業務独占とは医師、弁護士、公認会計士、鍼灸按摩マッサージ師、理美容師のように、その資格を持っていないとその業をしてはいけないことです。
名称独占とは我々理学療法士や保育士、介護福祉士など、その業は資格を保有していなくてもできるがその名称を名乗ってはいけないということです。
上記でも解説している様に、理学療法士の国家資格を持っていなくても整体師として理学療法士と近い施術を行っても違法にはなりません。
その際に「理学療法を行います」とか、「治療を行います」というと違法となります。
国家資格保有者は自身の職域拡大と職域を守ることに必死です。
特に医師は権限が強く、医療業界では医師の許可がなければ行えないことが多いです。
このような中でパーソナルトレーナーの国家資格を作っても名称独占になるのは確実で、結局名前を変えてトレーニング指導をするトレーナーが増えるのは目に見えています。(結局資格を取得しない)
本当に複雑なことです。
またトレーナー側の問題が多いのは確かですが、実は消費者側にも問題があることもあります。
ひと昔前は儲かるという理由でパーソナルトレーニングジムを開業する人もいたかもしれませんが、基本的には真摯にお客様のトレーニング指導を行いたいと考えているトレーナーが多いと思っております。
大手ダイエット系パーソナルトレーニングジムのCMのインパクトが強すぎて、2か月で理想の身体にすることがパーソナルトレーニングであるかのような印象を消費者に与えてしまいました。
そのため実績を作るために、何としてでも痩せさせようとしてしまうのです。
これも事故が起きてしまう原因の一つでしょう。
しかし本来パーソナルトレーニングとは正しい知識をお客様に提供するためのサービスです。
学習塾と似ています。
通うだけでは何も変わりません。自身の身体と向き合い、自分自身でも成長していこうと思わないと効果は得られません。
お金に余裕があり、健康維持の目的(週1~2回継続して運動がしたい)で通い続けるのであればそれでもよいでしょう。
しかし目的があるのであれば、自身でも学ぶ姿勢は持っていた方がよいと思われます。
このような事故の背景には様々な問題が入り混じっています。
もしパーソナルトレーニングに興味を持たれたら、初回体験に行くことをおすすめします。
そこで自分に合ったトレーニング指導を行ってもらえそうか見定めてください。
私は少しでも多くの方が、安全なトレーニング指導者に巡り合ってほしいと切実に願っております。
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パーソナルトレーニングジム コンディショニングセンター メディベンション